だててんりゅう1976
だててんりゅう1976 評論いろいろ
同時代を同じようなことをして生きていた人間として、口では言い表せない、あの頃の空気、冷房のきかないライトエースに積まれたアンプの臭い、汚く狭いライブハウスの楽屋、紫煙 に包まれた客席、メンバーとの激しい議論、ただ闇雲に突っ走るだけの日々———–
でも、それは決して、ただ懐かしいといったものではない。あの頃、確かに存在していた、現実だった。だててんりゅう、最高だ! 絶対聴くべし。あの頃ロックをやってた奴は、みんなこうだった。 こういう音楽を「ロック」と言ったのだ。チューニングの合ってないギター、 割れたオルガン、怒鳴るような歌。日本ロックの傑作。 (難波弘之2000)
1976年7月。走行距離18万Kmを超えた5人乗りのライトエースを借りてきた。
女より大切な楽器とアンプを詰め込んで、白と黒のゼブラ模様のそいつとのハードな夏が始まる
メンバー4人とマネージャーの五条さん、印度から帰ったばかりで京都に遊びに来ていた梅ヶ丘のラビット君の6人が乗り込むと、ゼブラは悲鳴を上げながら走り出す。
雷の洗礼を受けた福井大学の学祭を終え、夜の闇の中ハイウエイを東へ走った。
バンドは最低の状態だった。3日前にギターの三須磨 大成が抜け、サウンドは変わっていた。
京都を出てから旅が終わるまでの事をよく思い出せない、覚えていない。
煙で充満したゼブラと流れ去るオレンジの光、朝に向かって走っている事以外。
高円寺「次郎吉」、三ノ輪「モンド」、渋谷「屋根裏」、呪われたギグはドラムのスネアの皮が破れ始まる。
アンプが鳴らない日、キーボードのテープエコーが効かない日、
ジーンズのジッパーがぶっ壊れて全開になりギターで隠しながら演った日。
梅ヶ丘から逃げるように京都へ帰った。
高速でお巡りに止められた。「もっと速く走れ。」冗談じゃない。
アクセルは京都を出たときからずっと全開なのに。
ひとかけらのキャベツとカルピス1本でしのいだ夏22才、Soulful…
隣さん、ひろしに捧ぐ
(きべ2000)
Track List: 01.電車
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