KUMEさん評論 ●2001年11月25日に京都,拾得にて,1983年活動停止以来,数十年ぶりにおこなわれた「だててんりゅう」のスーパーライブを収録しました 2003年にリリース。 京都「拾得」で収録されたライブ・アルバム!恐らくこれこそが、僕の待っていた「だててんりゅう」なんだと思う。井上さん&杉浦さんのリズム・セクションにオルガン&シンセ、そして隣さんのヴォーカルが乗る。大好きな「日が暮れて」や「フォギーデイ」が入っていないコトに始めは少し”ん?”って思ったが、「寒い季節」と「くる日もくる日も」の隣さんの声&唄を聴いて、正直なところぶっ飛んだ!渋みとか凄みとかいった単純な言葉ではあらわせない程のインパクトがあった。 このアルバムに収められた「だててんりゅう」の音は、もうロックだとか、日本語だとか、プログレだとか、ジャズだとかいったそんなありきたりなモノを遥かに超越してしまっている。このアルバムのインスト曲「東福寺」や「NADA」を聴いていると、このグルーヴや演奏は永遠にループして終わることなど無いのではないか、という幻覚に見舞われる。最好調時のジャコ率いる「ワード・オブ・マウス」を思わず連想せる井上さんのベースは、やっぱり完璧だし、隣さん&光森さんのキーボードは様々な色や情景を目の前に展開してくれる。 このアルバムを聴いて、その日の「拾得」の様子は全く想像ができない。「東福寺」が始まったとたん、僕は幻想の荒野を彷徨いはじめる。6曲目、ゲストの加藤さんの「ジャックを待ちながら」でふと現実に引き戻され、しかし、「くる日もくる日も」を隣さんが唄いだすと、再びワンダー・ランドへとトルネード・コーク・スクリュー・ドライブしながら舞い落ちていく。メンバー紹介になってやっと我を取り戻した時には、世界一短い45分44秒のミラクル・トリップは終了となる。 そして、全ては「迷わないさ!」と自分自身に言い聞かせるかのように唄われる”言葉”にたどり着く。もう、今の「だててんりゅう」には”伝説”も”幻”も”最長”も全く必要ではない。 敢えて言っておこう、「だててんりゅう」こそが”音楽”なのだ!”音を楽しむ”という素晴らしい情況を与えてくれる”宝箱”だ! 21世紀、この最高に素敵なアルバムが無事発売されたという”事件”に感謝したい。 (Kume2003) |